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Virginia Air & Space Centerに展示されているF-18 HARV。 |
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1.背景 |
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1985年頃、NASAのLangley Research Centerは将来航空機の高迎角飛行特性を改善するためのデータを取得を目的とした高迎角飛行の研究HATP(High
Angle of Attack Technology Program)を開始、サブスケールモデルによる風洞実験を行ったが、スケールモデルでは得られないデータを補うためにも実機による検証が不可欠と判断、実機を用いたHARV
(High Alpha Research Vehicle)計画がスタートし、高迎角飛行特性に優れるF/A-18が実験機に選ばれた。
海軍からNASAに提供されたのはF/A-18A-2-MC 160780 全規模開発機6号機、飛行領域の限界追求のために用いられた機体で、1980年には-8°から+82°を記録している。試験終了後海軍のNaval
Air Test Center (Patuxcent River,MD)で保管されていたのだが、1985年10月にNASAのDryden Flight
Research Centerに引き渡された時には様々な計装改修が施されていた上に共食いにより400点近くの部品が失われており、とても飛行可能な状態に復帰できるとは思われなかった。それでもNASAの技術者や整備士の努力で1987年に復旧が完了し、NASA840のシリアルを与えられ飛行試験が開始された。 |
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実験の概要を説明するボード。 |
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2.飛行試験 |
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◆Phase1 101フライト 高迎角飛行時の計測技術の確立 |
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飛行可能状態に復帰した機体は1987年4月2日に初飛行し、55°の高迎角で機首先端のポートから排出する赤い煙や機体表面に貼り付けた短い糸の挙動から気流を視覚的に確認、風洞実験データとの比較を行った。このPhaseでは様々な計測機器が搭載されたが、まだ機体外部に大きな改修は加えられていなかった。 |
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機首先端のPort。塗装が剥げている。 |
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◆Phase2 193フライト 推力偏向パドルによるより大きな迎角での飛行試験 |
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Phase1終了後機体は通常のノズルを取り外され、代わりにインコネル製のパドルが取り付けられた。これにより最大70°の高迎角飛行及び舵面が効かない状況でもピッチとヨーの制御が可能となった。またスピンリカバリー用のパラシュートも取り付けられているが、これらの改修による抵抗増加のために超音速飛行はできなくなっている。飛行制御のソースコードは新たに開発されており、パイロットがパドルの制御のために特別な操作をする必要は全く無い。
1991年7月から1992年2月までのフライトで70°の高迎角飛行と65°でのロール(推力偏向ノズルなしでは迎角35°以上でのロールは不可能だった)を実施した後、1993年1月から1年かけてインテイクに圧力計が取り付けられ、1994年1月から1994年6月まで高迎角飛行時のエンジンへの空気流の計測を行った。 |
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推力偏向パドル。片方のエンジンに3枚ずつ。上の四角い箱がリカバリーシュート。
細長い箱がアクチュエーター。また水平尾翼がアクチュエーターに干渉しないようトリムしてある。 |
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◆Phase3 109フライト 機首のストレーキによる高迎角飛行時のヨー制御 |
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風洞実験によればストレーキは高迎角飛行時に発生する過流の影響で通常飛行時の垂直尾翼と同じくらいのヨー制御効果を発揮することがわかっており、Phase3ではレドームに開閉式のストレーキを付けてこれを検証することになった。実験は下記3つのModeで行われ、ストレーキが高迎角飛行時のヨー制御に有効であること、推力偏向機構との組み合わせで運用に柔軟性を持たせられることが実証された。
Mode1:推力偏向パドルだけでピッチ、ヨーを制御
Mode2:推力偏向パドルでピッチ、推力変更パドルとストレーキでヨーを制御
Mode3:推力偏向パドルでピッチ、ストレーキでヨーを制御 |
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開閉式ストレーキ。ヒンジで外側に開く。 |
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3.まとめ |
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この実験はNASAのLangley Research Centerの主導のもとに行われたが、その他にもAmes Research Center、Dryden
Flight Research Center、Lewis Research Center、ペンタゴン、アメリカ3軍、イギリス軍などが協力した。将来機の発展につながる重要なデータを提供したF-18
HARVは1996年9月に最終フライトを行いその役目を終え、Langley Research Centerの近く、Virginia Air & Space Centerに展示されている。 |
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